実録!ジンベイが飛んだ日(熱血空中水族館顛末記)

(sunpapa工房のブログより抜粋、編集した記事)

◇プロローグ

 エア・ジンベイザメ制作依頼の話があったのは、パラオから帰った翌日のことでした。最初はあまりの巨大さに、制作など不可能だとお断りしようと考えたのですが、今回のプロジェクトリーダーのY氏と電話で打合せをしているうちに、胸裏で否定しつつも、なんとなく出来るのじゃないかと、身体はかってにOK!サインを出していました。

Y氏の発案でジンベイザメプロジェクトがスタートしたのは、今から半年前に遡ります。Y氏は国際的なイベントや、ステージ会場の企画から演出まで手がけるプロデューサーとして活躍しています。さすがのSUNPAPAもY氏の並外れた奇想天外な発想と行動力には脱帽せざるおえませんでした。

Y氏はバルーン型の怪魚?が自由に空を飛び回るのをYOU Tubeで見て、氏の臭覚が大いに刺激されたようです。その事がきっかけでサンパレス「空中水族館」が誕生したのです。その第一弾は大型プロジェクター3基を並列に設置した大スクリーンで、3Dアニメ映像(ジュリアジャパン制作)による海底の楽園を再現したものでした。

自由に水中を泳ぎ回る魚たち、ジンベイザメ、ブルーマリーン、マンタ、ウミガメ隠れクマノミなどなど、SUNPAPAが大好きな海底楽園が見事に再現されていました。

今回制作したラジコン操縦によるバルーン型フライングフィッシュは、文字通りヘリウムガスの浮力で浮かぶ大型風船(気球)に駆動装置を装備し、空中を自由に飛び回ることを目標に計画されたものでした。近い将来、完全なオートパイロット化も視野に入れて開発しました。プロジェクトの開発にあたったチームメンバーの構成はリーダーのY氏(プリズム)をはじめとして、バルーン制作を担当したA氏、映像、進行管理を担当したジュリアジャパンのM氏、それに、システムデザイン全般を担当したSUNPAPAとプログラム&配電を担当したT氏が参加しました。

その他にも今回のプロジェクトに協力していただいた方々に心から感謝する次第です。

今回のプロジェクトがまがりなりにも成功にこぎつけたのはテクノロジーの勝利!ではなく・・・プロジェクトチーム一丸となって取り組み試行錯誤!七転八倒の末に成し得た成果であると確信しています。

又、開発にあたり、快く資金を提供してくれたジュリアジャパンの社長とプリズム代表に心より謝意を述べたいと思います。


試作1号(2分1サイズ)

製作のお話があってから納期の7月20日まで2か月余りしかありません。構造設計からジンベイのデザインまで2週間で試作機を完成しました。2分の1サイズ胴体長3mのミニジンベイで体重は1.5kg飛行機と違い、速度が無いので、エレベーター、エルロンで方向や高さの調整が出来ません。推力を確保するために、小型のダクデットファンを装備、前後の重心移動とエルロンの代わりにムナビレに仕込んだ重心移動装置で左右に傾けて旋回しようと考えました。

グライダーと違い、最初から浮力があるとはいえ、軽量化が最大の課題になることは事前の打ち合わせで確認済み。テスト用のバルーンの浮力テストでは1.5kgは確保されていました。胴枠の中にバルーンを仕込んでヘリウムを充填してみますが、全く浮き上がりません。予備の大型バルーンを追加してみます。一つ、二つ、三つ、頭は浮力が強いので浮き上がるのですが、このままでは棹立ち状態!尻尾が重たい・・・浮力が期待出来ない尾っぽが足を引っ張ります。前方にバラストを積んで何とか姿勢を水平に保つことができました。最初から絶望的な状況です。

<プリズムの倉庫でテストは始まった>

SUNPAPAが考案した駆動システムは、推進力だけは確保されたのですが、高度移動および方向転換は全く駄目!テストの後、全員で反省会です。浮力に関しては、スケールが2倍の大きさになれば容積は8倍になるので、何とかなると楽観的でしたが、後部をいかに軽量化するかが課題となりました。その為に、形状はバルーンに任せて、駆動系のシステムを確立することが最重要課題になりました。許された時間は1カ月あまりしかありません。


試作2号(全長6m)

今回は本番と同じサイズで作ります。バルーンにヘリウムを充填  でかい  とにかくデカイです。前回の教訓を生かし、後部の軽量化を図るために、ダクトを必要とするファンは止め、小型のブラシレスモーターにプロペラを装備しました。ところが、今回は後が軽く、前が沈んでしまいました。サプライズとして考案したジンベイの口を、思いっきり開かせる設計が裏目に出て、結果前重となってしまったのです。

うーん!バルーン侮るべからずです。旋回もホテルのロビーの広さを考えると、全くの不合格でした。サイズ確認のため、実際の会場に持ち込むことになりました。

<テストは南区青少年会館アリーナを貸切って行われた>

洞爺湖サンパレス「空中水族館」オープンまで2週間。ホテルのロビーの中で旋回するには、少し大き過ぎるのではとクレームがつくほどでした。更に旋回性能を考えると、全長を縮めるしかありません。全長を縮めても、浮力を落とす訳にはいきません。今でも沈みがちですから、更に1.5から2Kg位の浮力が欲しいところですが、重心を合せるためのバラストも極力避けなければ、根本的な解決にはつながらない事も知りました。

全長を縮めて、尚且つ浮力を確保しながら、重心合わせのバラストを減らす最善策を講じる必要に迫られた訳です。姿勢制御もままならず、八方ふさがりの状態でした。納期まで時間がありません。最後の手段として選択したのは、ジンベイ本体形状の大幅見直しと、姿勢制御システムをヘリやクワッドコプター(ドローン)のような、プロペラやファンによる制御に全面的にきりかえる事でした。

<システムの構築に七転八倒中のSUNPAPAとプロデューサーのY氏>

姿勢制御用に考案したシステムの実験装置です。といっても、カーボンフレームにFANを乗せバルーンで吊っただけの簡易的なものですが、この装置であれば、手軽にテスト飛行が可能なので十分なノウハウと成果を得ることが出来ました。バルーンでテスト中、旋回性能、上昇とも飛躍的にあがりました。

次に本体(バルーン)設計見直しでは、CG上で球体を作り、必要な浮力を得るための容積計算から球体の大きさを決め、想定した全長の長さまで、球を前後左右に変形させながら、ジンベイのシルエットを確立したのです。最初に意図したリアルジンベイとは違い、スマートさは失われてしまいましたが、これはこれで、可愛いですね。むしろSUNPAPA的には肥満型ジンベイの方が子供達にも人気がでると思います。

(東京で製作されたバルーンにヘリウムを充填、命を吹込まれるジンベイ君)

塗装済みのジンベイに本番用の姿勢制御システムを組み込む所です。

形状を変更することで、全長は縮まったものの、浮力が飛躍的に増えた上、重心合わせのバラストが少なくてすむようになりました。その相乗効果で、駆動系システムに許される重量がある程度増えても十分浮力は確保されたのです。駆動システムで考慮しなければならないのは、形状がサメなので、目立つ所に、ファンやプロペラを設置出来ないことです。

クワッドコプターやドラエモンのタケコプターのように、表だって大きなぺラを頭尾や腹に付ける訳には参りません。そこで考案したのが、米軍のオスプレースタイルです。ジンベイで採用したのは、小型ジェット機用ダクデットファンをサーボで上下左右に振る制御システムを考案しました。

システムの構築に要した装備の概略として、小型ダクデットファン6基、ESC6個、サーボ5個、受信機5個を使用しました。バッテリーは最終的には、ムナビレに仕込んだ推進用ダクデットファン2か所にリポ2S 3000mA×2個に落ち着きました。(最終的には3セルで駆動)

FANの設置場所は眼玉のカプセルに各1個、

<目玉の中はサイボーグ?>

<駆動装置を組み込むSUNPAPとT>

ムナビレ各1個(後期型ではムナビレの推進用ファンは必要ではないと判断し撤去)尾っぽに2個の他、尾鰭を左右に振る為のマイコンとサーボを装備しています。

それと、操縦性とメンテナンスフリーを考慮して、バッテリーの積み下ろしなども不要で、一本の充電コードをつなぐだけで、充電から、未使用時のバッテリー管理まで自動化しました。操縦もあらゆる、ミキシングを駆使することで簡略化することに成功しました。

当初は姿勢の安定化を目指してジャイロを搭載することも考慮したのですが、屋内では全く必要ないほど、安定しています。

注意事項としては、最適な重心位置を確保することと、ヘリウムガスの充填で中性浮力を維持する2点だと思います。

完全に調整が取れたジンベイ君は、毎晩サンパレスのロビーを気持ちよさげに、泳いでいます。たまに、気が向くと客席でお辞儀をしたり、愛嬌をふりまいたりしているようです。

空撮も楽しい映像になりました。次回はマンタ編ですよ!

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